毎年、4月から5月下旬にかけてたくさんのイルカ達が積丹半島にやってきます。
今年は温暖化の影響のためか3月上旬からイルカ・クジラたちの目視情報が地元漁師さんから沢山寄せられています。
イルカは多い時には数百頭の群れに囲まれることもあり、その迫力に圧倒されます。。
力強いイルカたちの泳ぎや生態を船の上から間近で観察してみせんか!



イルカウォッチクルーズのご案内

  ◆開催期間 4月29日〜6月25日頃まで
  ◆出港場所 積丹町幌武意漁港
  ◆出港時間 朝7時 昼12時 夕方16時 
  ◆料金   90分 6,000円(90分/人)

     ※最低遂行6名・最大17名

◎積丹にやってくるイルカたち◎

一口にイルカと言ってもその種類は80種にも及びます。イルカはクジラ目の中の4科
(マイルカ、ネズミイルカ、イッカク、カワイルカ科)45種となります。
その中で、積丹でこの時期に沿岸、2〜3マイル沖合いで観察できるのはマイルカ科
のイシイルカとカマイルカです。カマイルカは群集性が強く、500頭を超える大群
が港のすぐ近くでジャンプしながら遊んでいる光景を見ることもあります。
海一面がイルカで多い尽くされた時の迫力は、なかなか言葉で言い尽くせるものでは
ありません。
とにかく、実際に見てみるしかないでしょう。

イルカと一緒に1〜2時間クルージングすることもあります。そんな時いつも考える
ことは、『彼らはどこから何をしにやってきたのだろう?一体どのくらいいるのだろ
う?』ということです。そこで、カマイルカとイシイルカ、さらにイルカほどの頻度
で観察することは難しいのですが、ツチクジラ、シャチについても簡単にお話してゆ
くことにします。


●カマイルカ

鎌の形の背びれを持った海の豚。あまりにもひどい名前のようですが、確かに鎌その
もののいかにも切れそうな白と黒の刃物状の背びれをしています。
世界的にもイルカ漁や捕鯨の歴史は古く、西暦800年からすでにノルウェー人が、
12世紀にバスク人、17世紀以降オランダ人、イギリス人そしてアメリカがイルカ漁や
捕鯨を始めています。日本においては1600年前後に船団を組んだ効率の良いこれまで
とは違った方式により、本格的に開始されました。
当時、クジラ類は重要な食糧源として、世界中の海で捕られていました。
その結果、個体数の激減をまねきました。

1982年の国際捕鯨委員会により商業捕鯨停止が決定されて以降、捕獲枠の範囲内での
捕鯨をしています。イルカはまさしく海の豚そのものだったのでしょう。
カマイルカの分布は、東、南シナ海、中国大陸沿岸、黄海、紀州〜南千島にかけてと
北緯40〜50度の太平洋に帯状にわたっています。水温8〜21度の範囲を好んでいると
いわれます。大きさは、雄、雌ともに性成熟(7〜9歳)で170〜210cm。背面の体色
は黒または黒褐色。体側面は白黒のぼかしもようで腹面は白。最高年齢は44歳の記録
があります。体は小さく、ジャンプを得意とし、配色も美しいので水族館では一番の
人気者。行動は敏捷的で、瞬間的に55kmで泳ぎます。
数百頭〜1000頭の群れが船の周りにやってきて、船首波に乗ってジャンプしながら戯
れる姿は壮観です。食性は幅広く、イカ、マイワシ、ハダカイワシ、ブリなどを追っ
て食べています。個体数は日本海、東シナ海に8万5000頭。
太平洋沖合いに100万頭と推定されています。ワシントン条約の付属書にリストさ
れており、1993年から日本では捕獲が禁止されています。


●イシイルカ

英語では「ルースターテール」と呼ばれています。雄鶏の鶏冠という意味で、水面を
泳ぐ時、逆円錐形の水しぶきを上げるため似ていることからこの名がつけられました。
実際に船上で見ていても、ジャンプせずにしぶきだけが上がるのですぐに見分けられ
ます。体色は黒で腹側に白の大きな斑点があります。太平洋系のリクゼン型はこの白
斑点が肛門から胸鰭基部にまで及び、日本海系のものは、背びれの下で止まっていま
す。体長230cmとネズミイルカの仲間では最も大型です。
船に対する好奇心が強く、かなり遠くからでも船の存在を知って接近し、船首、船尾
舷側にできる波にのりついて泳ぎます。
イシイルカには8つの個体群があると言われています。オホーツク海中部(リクゼン
型)、北部、南部、カムチャッカ半島南方海域、アリューシャン列島南方海域、アラ
スカ湾中央部、ベーリング海中央部、北アメリカ西海岸(イシイルカ型)です。
個体数は全体で100万頭とも300万頭とも言われており、今のところ絶滅の恐れはない
と言われています。日本近海ではそれぞれ22万頭と推定されています。
しかし、年間2万頭近くが突きん棒漁業と流し網により混獲されており、今後の個体
数の動向に注意が必要といわれています。


●ツチクジラ

額が垂直に切り立ち、細長いくちばしが前方に伸びている形が槌に似ているのかどう
かあまりよくわかりませんが、アカボウ鯨の仲間では最大の12mを超えるクジラです。
「北の海のクジラ」と言われる日本近海に特に濃密な分布を持っています。
太平洋側では伊豆半島以東・北緯34°以北、日本海側では北緯36°以北に限られてお
り、夏に水深1000〜3000mの大陸斜面に集まります。オホーツク海では冬に流氷の中
で見られますが、北海道沿岸では4〜11月の夏場に発見されることが多く、特に日本
海には、外海に行かず1年中生息している個体群がいるといわれています。
カムチャッカねで釣りをしている人やこの海域で定置網を入れている漁師さんたちの
目撃情報はよく耳にするところです。昨年も、幌武意港の前浜に現れました。

ツチクジラの潜水能力は驚くほどです。l水深2000m、潜水時間1時間以上も潜って
いられると言われます。捕鯨砲で撃たれると垂直に潜って2000m以上も網を引き出す
そうです。まさにマッコウクジラ並みです。寿命は雄が84年、雌は54年と長く、10〜
25頭の群れで生活しています。
日本近海の個体数は太平洋5000頭、日本海東部1500頭、オホーツク海660頭と推定され
ています。ワシントン条約の付属書にリストされており、日本では年間54頭の捕獲を
許可しています。


●シャチ

海の王者、海の殺し屋などと呼ばれており、海洋の中では食物連鎖の最上位にある肉
食哺乳類です。シャチの胃から、イカ類や多くの魚類、エイ、サメ、ウミガメ、ペン
ギン、海鳥類さらに海獣類の殆どがでてきます。
イルカ類、アザラシ、トドなどのアシカ類、セイウチなどです。また、ザトウクジラ
などのヒゲクジラ類やマッコウクジラなどのハクジラ類も襲います。しかし、サメと
違って人間を襲った例は知られていません。20年ほど前に幌武意ピリカで冬に潜水中
いきなり出くわしたことがありましたが、やはり怖くてすぐにエギジットしました。
毎年トドの来る1月頃3〜4頭の家族を見かけることがあります。シャチは2つの異
った生活のタイプがあることが知られています。

ひとつは、海域に定住する『レジデント』、もうひとつは、より広い範囲を行動圏に
持ち、稀にしか姿を見せない『トライジェント』(通り過ぎる者)です。レジデント
はその海域に豊富なサケ、マスなど決まった魚類だけを食べますが、トライジェント
は回遊中に遭遇するあらゆる生きものを捕食します。

積丹半島や知床半島に現れるシャチは北米大陸北西岸のトライジェントの可能性が高
いと考えられます。そのため、おそらくトドやアザラシたちも、そしてイルカ、クジ
ラなども捕食しているのでしょう。水中ではあまり遭遇したくはありませんね…。


●クジラ・イルカはどんな動物か

2億5000万年前に始まる中生代ー巨大な恐竜が闊歩し、今より暖かかった海には、爬
虫類の魚竜や首鳥竜が進出していた。繁栄を謳歌していた彼らが突然地球から姿を消
したのは、今から6500万年前のこと。それまで巨大な恐竜の足元でひっそりと暮らし
ていた哺乳類の仲間が、かつての住人がいなくなった環境へ、多くの種に分かれなが
ら生息領域を広げていく。この時クジラやイルカの先祖達は海を目指した。
彼らは水辺から浅瀬へ、やがてその先茫洋と広がる大洋にむけて進出していった。
哺乳類としての体を引き継ぎながら、海洋生活への適応を遂げた彼らは、数千万年と
いう時間をかけて、それぞれの生きるかたちを作り上げてきた。アンプロケタスのよ
うなムカシクジラ類が姿を消して新たなクジラのグループが台頭する。

現在生きるクジラやイルカにつながるハクジラ類とヒゲクジラ類がそれだ。
ハクジラは水中を泳ぎまわる獲物を効率よく捕らえるための細く長いくちばしと、一
様に尖った円錐形の歯を備え始める。
そして何より、海の中を泳ぎまわり、獲物を捕らえるために、エコロケーション(反
響定位)の仕組みを早い時期に発達させ始めた。
また、ヒゲクジラは海中の小生物をこしりとって食べる捕餌方法を身に付け、地球規
模の大回遊を可能にする巨大な体を作り上げた。


●クジラ・イルカの声

海中は空気中に比べて、視界の利かない世界である。しかし水は空気に比べて4倍の
速さでよく遠くまで音を伝えてゆく。この環境の中で、クジラやイルカは聴覚を発達
させるとともに、様々な声を持つようになった。極めて低い音を連続して発するクリ
ック音はエコロケーションや強い音圧で魚を麻痺させるときに用いられる。
笛を吹くような声、ホイッスルは個体間のコミュニケーションに使われる。いくつも
の周波数成分が重なり合う層状音は興奮したり、相手を威嚇する時に使われる。
また、ザトウクジラは繁殖の季節に規則正しい音のユニットを発します。
『歌』と呼ばれるこの調べはライバルとの間を一定に保つためと言われている。
シロナガスクジラが仲間との交信のために発する極低音(50〜60ヘルツ)の音は数千
キロも届くといわれている。

シャチが発する声の中に「コール」(錆付いたドアの軋み音)がある。
ほとんどのレジデントンのポットはそれぞれ特徴的な7〜17個の明確なコールを持っ
ている。こうしたコールは群れとしての行動をまとめたり、視界から外れた仲間と接
触を保つための機能やサケを追うときに数キロ四方に散らばった仲間との交信につか
っている。潜水艦のソナーはハクジラのエコロケーションを真似したものだが、その
しくみは、一連の小刻みなクリック音を前方に発し、物体に当たって跳ね返ってきた
反響を聞くことで、位置や形、大きさを知ることが出来るものである。
このしくみで暗い海底の砂の中に潜む魚でも簡単に捕まえられる。


●行動

クジラやイルカが見せる様々な行動の意味合いは、その多くがまだ謎のままに残され
ている。ザトウクジラやシャチなど何種かのクジラ類は、しばしば海面上に巨体を躍
らせる行動を見せる。この豪快な行動はブリーチ(ブリーチング)と呼ばれ、体表の
古い組織や寄生虫を落とすため、あるいは巨体が海面をたたく時の音を仲間との何ら
かの合図にするといった、いくつかの意味が考えられる。
水中にすむクジラ・イルカの仲間がとりわけ聴覚を発達させたことは確かだが、視覚
も重要な感覚となっており、特に海面から顔を出しながら辺りの様子を覗う行動を見
せることがある。こうした行動はスパイホップと呼ばれて、特に沿岸で生活する鯨類
で頻繁に観察される。泳ぐ時の姿勢のままで尾びれを前方に反らせ、あるいは海面に
仰向けになった姿勢で腹側に曲げて尾びれを海面にみせ、あるいは海面近くで逆立ち
して尾びれを空中高く突き出した後、力任せに海面に叩きつける。
この『尾びれたたき』行動では、激しい水飛沫がはじけ、水音が辺りに響く。

威嚇、もしくは仲間との何らかの合図など、様々な解釈がなされるこの行動の本当の
意味は、まだ謎のままだ。海面で体を横たえ、空中に突き出した片方の胸鰭で海面を
強く打ち付ける行動を見せることがある。尾びれたたき同様、コミュニケーションの
手段と考えられている。
クジラやイルカが海原で見せる様々な行動にこめられた意味合いは、その多くが人間
にはまだ謎のまま残されている。彼らがこれから先も行き続けていくことが出来たな
ら、いつの日かその意味を読み取ることが出来るかもしれない。

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